今月(6月)の7日、前々回にご紹介したうるま市与那城上原(宮城島)の『ヤンガー』を後にし、最後に浜比嘉島の比嘉集落内にあるグスク跡へ向かいました。
こちらは現在『比嘉公園』として整備されているんですが、公園敷地内には、拝所やグスクを偲ばせる僅かばかりの遺構があります。
沖縄県うるま市勝連比嘉(浜比嘉島)にある
『比嘉グスク』☆
丘の頂上の平場にある貝が祀られた『比嘉グスク』の拝所 |
『平安座島』に渡り、2つめの信号がある県道10号線と238号線がぶつかる交差点に差し掛かるんですが、そこを右折して県道238号線に入り、『浜比嘉大橋』を渡ります。
橋を渡って突き当りを左折し、約880mほど進んだところ右側にある脇道へ右折、約50mほど進むと左側にあります。
比嘉集落の海岸線を走る道路から見た『比嘉グスク』遠景 |
公園入口の右側には、大きな祠の拝所があります。
『比嘉公園』の入口。 |
地頭代火の神 |
『学問の神』が祀られているらしく、旧暦4月14日のアブシバレーの時に拝み、現在では受験生が拝むこともあるんだそうです。
戦後間もない頃までは、ムラヒヌカンも一緒に祀られていたみたいですよ。
(うるま市役所『地区住民アンケート調査の結果1.浜比嘉島景観資源マップ』より引用)
祠の内部には4基の香炉が置かれていました。 |
『比嘉公園』入口前の駐車場と『アシビナー』 |
アシビナー |
そして、公園入口を入っていくと、敷地内は2段に分かれていて、上の段には休憩所のみが設けられ、下の段には遊具が設置されており、定期的に清掃が行われているようで、とても綺麗な状態が保たれていました。
比嘉公園 |
比嘉公園 |
主郭へは、表の道を浜集落向けに少し歩いていくと、丘の上へと伸びる階段があるので、その階段を上がった先にあります。
『比嘉公園』前の道路から『比嘉グスク』の主郭へと続く階段の入口を見たところ。(左奥) |
沖縄県立博物館総合調査報告書Ⅶ『浜比嘉島小史』という資料によると、グスク内への出入口があり、そこを登っていくと両側に段々状になった削平地があると記されているんですが、草木が生い茂っていて、確認することが出来ませんでした。。。(泣)
主郭へと続く階段 |
L字に曲がった地点から頂上を見たところ |
んで、ようやっと頂上が見えたと思いきや、単に階段が直角に曲がっていただけで、その地点からさらに階段が伸びています。。。(泣)
L字に曲がった地点から頂上へ向かう途中の階段下に崩れた石積みの遺構が見えました。 |
もしかすると、この石積みは『比嘉グスク』のものであったのかもしれませんね。
先程の沖縄県立博物館総合調査報告書Ⅶ『浜比嘉島小史』によると、現在の階段がL字に曲がった地点から約10mほど進むと"岩山"があるんだそうで、そこから≪虎口が複雑になり、岩と岩の間を攀じ登るようにして頂上に辿り着く≫とありました。
また、かつて出入口や階段の両側にあった削平地は、いずれもグスクの"郭"だったそうで、段々状に構成された"郭"や、わざと狭めて複雑化してある虎口などは、敵の主郭への進入を防ぐための工夫であったことが読み取れるんだそうです。
『比嘉グスク』の頂上 |
頂上も、草刈りなどの清掃が定期的に行われているようで、綺麗な状態が保たれていましたね。
頂上には、休憩場所である赤瓦屋根の東屋とグスクの拝所があります。
『比嘉グスク』の拝所 |
グスク域内やその周辺からは、14世紀~15世紀ごろの中国で凄惨された陶磁器の破片が出土していることから、グスク時代に築城されたのではないかと推察されているんだそうです。
『比嘉グスク』の主郭にある貝が祀られた拝所 |
※『ウマチー』とは、沖縄の方言で"御祭り"のこと指しており、神酒や供物を供えて、豊穣祈願・感謝、そして集落の繁栄祈願等を行う行事のことです。旧暦の2月、3月、5月、6月の15日前後に行われます。
主郭内にわずかに残る遺構 |
『比嘉グスク』の主郭から見た景色 |
宮城島 |
『アマミチューの墓』がある『アマンジ島』も見えましたよ。 |
『比嘉グスク』の主郭入口から見た『平安座島』 |
『比嘉グスク』の出入口の階段から約70mほど進んだところ左側には、『ウィヌカー(上ヌカー)』と呼ばれる井泉があります。
『比嘉グスク』主郭から降りて来たところ。右側の道路を約70mほど進むと左側に『上ヌカー』があります。 |
『ウィヌカー』の出入口 |
また、集落の西側の人達が飲料用として使用していたため『イリガー』とも呼ばれるんだそうですよ。
ウィヌカー(上ヌカー) |
少しばかりの水が残っていました。 |
『比嘉グスク』の北側の集落内にある『火の神(ニーヤ)』 |
うるま市役所の公式HP内にある史料『地区住民アンケート調査の結果1.浜比嘉島景観資源マップ』によると、かつては海の方向を向いていて、拝みに来た人は、『比嘉グスク』を拝むような形となっていたんだそうです。
さらに昔は、旧公民館近くにあったんだそうで、十二か所めぐりの拝所のひとつとなっているんだそうですよ。
・・・と、こちらの『火の神(ニーヤ)』まで見学させて頂いた後は、そのままクルマへと戻り、『比嘉グスク』を後に致しました。
宮城島同様に、浜比嘉島にも拝所などの史跡がまだまだ点在しているので、こちらもまた機会を設けて再訪したいと思います。
それでは、今回はこの辺で。。。でわでわ☆★☆
☆『比嘉グスク(比嘉公園)』☆
☆場所:〒904-2316
沖縄県うるま市勝連比嘉 (浜比嘉島)
☆見 学:無料
☆駐車場:あり(4,5台ほど)