勝連半島の北東約10㎞にある島の最高所となる台地に立地するグスク跡☆|沖縄放浪日記

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2017年5月4日木曜日

勝連半島の北東約10㎞にある島の最高所となる台地に立地するグスク跡☆

ハイサぁ~イ⭐

先月(4月)の最終金曜日は、午後からうるま市方面まで出かけてきたんですが、前々回の記事でご紹介した、うるま市字宇堅にある『古(クー)グスク』を見学した後、沖縄本島中部の太平洋に突き出た『勝連半島(若しくは与勝半島)』の北東約10㎞に位置する『伊計島』へ向かいました。

その『伊計島』にも、以前から足を運んでみたかったグスク跡があるんですが、そのグスクは干潮時にしか入ることが出来ないとのこと。。。

んで、『古(クー)グスク』を後にした時間帯は、ちょうど干潮時刻と重なっていたため、間に合うかどうか微妙ではあったんですが、とりあえず行ってみることにしたとゆーわけなんですよ。

沖縄県うるま市与那城の伊計島の南西端にある

『伊計グスク』

伊計グスクの写真
新しく作り直された主郭にあるイベ
こちらはまず、うるま市与那城の県道10号線37号線がぶつかる『海中道路西口』の交差点から、『海中道路(県道10号線)』に入り、『平安座島』へと渡ります。

『平安座島』に渡ってそのまま県道10号線を進んで行き、今度は『宮城島』へと渡ります。

そして、そのまま『宮城島』も北上していき、『宮城島』『伊計島』を結ぶ『伊計大橋』を渡り、そこから約350mほど進んでいくと、すぐ右側にあります。
伊計グスクの写真
宮城島から見た『伊計グスク』全景
『宮城島』と『伊計島』を結ぶ『伊計大橋』を渡り、ちょこっと進んでいくとグスク北側にある『伊計ビーチ』の駐車場があるんですが、そちらの片隅にクルマを停め、グスク北東側にある砂浜へ徒歩で向かいます。
伊計グスクの写真
グスク北側にある『伊計ビーチ』駐車場
ちょうど県道10号線から海へスロープが伸びており、そこから砂浜へと降りていき、『伊計グスク』の方へ歩いていくと、丘の麓から上へと続く小道の入口が見えてきます。
伊計グスクの写真
逆光で見えづらいですが、写真に写っている大きな光の輪の下の部分にグスク入口があります。
潮が満ちてくると、駐車場の手前くらいまで水が入ってくるようで、そうなるとグスク入口へは海水に浸かりながら行くしかありません。
伊計グスクの写真
『伊計グスク』入口。満潮時にはこの一帯まで海水に浸かってしまうんだそうです。
この日は、ちょうど新月の大潮が終わって中潮になったばかりなので、潮もだいぶ引いてましたね。

んで、グスク入口には真新しさの残る案内板が設置されており、そこに簡単な説明が記されていたので、まずはそちらを読んでみることに・・・

≪伊計グスク≫
≪伊計島に隣接する岩山で、「イチーグスク」とも呼ばれています。

現在は伊計島との間に砂州が形成され、陸続きになっていますが、ウマチーの拝みの際には伊計港から遥拝します。

そのことから以前は伊計島とグスクは、陸続きではなかったと考えられます。
伊計グスクの写真
入口からしばらく歩いていったところにある最初の分岐点。左に降りると海に出ます。
グスクは傾斜の急な石灰岩の丘陵に築かれています。最高所は約49mで、東側から西側にかけて野面積みの石積が良く残っています。

1979年の調査では、中国製の輸入陶磁器やグスク土器、カムィヤキなどが出土しています。≫
・・・と、ありました。

なるほど・・・もともとはこの『伊計グスク』と『伊計島』は、別々の島で離れていたんですね。

説明を読み終え、さっそくグスク内へ入っていき、しばらく小道を進んでいくと、左下へと続く脇道のある場所にに差し掛かります。
伊計グスクの写真
分岐点から道の先を見たところ。
その脇道を下りていくと、道の終点左側の岩と岩の間に香炉が1基置かれた拝所がありました。
伊計グスクの写真
拝所
円筒状のものも置かれていたため、もしかすると『カー跡』なのかもしれませんね。。。

あと、こちらにはこの拝所しか見当たらなかったため、再び小道へと戻り、さらに丘の上へと進んで行きます。
伊計グスクの写真
2つめの分岐点。右奥に『伊計城之殿』があり、左へ進むと主郭へと向かうことができます。
この最初の分岐点からは舗装されており、多少歩きやすくなってはいるんですが、急斜面を上がっていくので、体力と転げ落ちないよう注意が必要です。

急な階段を上っていくと、2つめの分岐点に差し掛かり、右斜めに進むと『伊計城之殿』と記された拝所があり、左へ進むと主郭へ向かいます。

まずは『伊計城之殿』から見学することに。。。
伊計グスクの写真
生い茂る草木に囲まれた『伊計城之殿』
『伊計城之殿』内部には、円錐状の霊石が3本祀られており、その手前に香炉が1基置かれいます。
伊計グスクの写真
伊計城之殿
伊計グスクの写真
『伊計城之殿』内部
冒頭の方にご紹介した説明にあったように、『伊計グスク』は、『伊計島』とは陸続きではなかったんだそうで、『伊計大橋』が懸けられた際にグスクと島の間を埋め立てて伊計ビーチができ、地続きになったんだそうです。

沖縄県立博物館総合調査報告書の『伊計島の遺跡』によると、『伊計グスク』に纏わる『おもろ』が残されているんだとか。。。

【船出のおもろ あさどりがなりば やくのカミズーや とりかじやととり わがおもろとまり ひちよせてたぼれ】
伊計グスクの写真
『伊計城之殿』のある場所から、主郭へと続く小道。ここからは未舗装となっています。
この『おもろ』の意味は、「朝なぎになって、船頭役のカミズーが、船かじをとって、わが思い泊まりを渡っていきます。どうか伊計城の神様、無事に引きよせて下さい。」という感じになるんだそうです。
(沖縄県立博物館総合調査報告書Ⅳ『伊計島の遺跡』より一部引用)

この『おもろ』にもあるように、『伊計グスク』へ向かうには、かつては船で渡っていたことがわかります。
伊計グスクの写真
小道の先は急斜面になっており、ここを上ると主郭に辿り着きます。
『伊計城之殿』の拝所から、西に伸びる小道へと進みます。その小道の先が『伊計グスク』の主郭となるようです。

主郭には、拝所が3ヵ所あります。
伊計グスクの写真
城内之イベ タキキヨの御神
まず最初に目にするのは、最近新しく改築されたであろう立派な祠の拝所。

こちらは『城内之イベ タキキヨの御神』という拝所なんだそうで、内部には、1基の香炉とたくさんの貝殻が祀られていました。
伊計グスクの写真
『城内之イベ タキキヨの御神』の内部。たくさんの大きな貝殻と1基の香炉が祀られていました。
数年前に、こちらを訪れたことのある方のブログを拝見させて頂くと、以前の祠は劣化が激しくかなり崩れていたようです。

現在の祠は、かなりしっかりとした造りになっており、とても頑丈そうでしたよ。

この『城内之イベ タキキヨの御神』の拝所から東側に少し開けた場所があり、そこにも小さな拝所があります。
伊計グスクの写真
『城内之イベ タキキヨの御神』の東側にある拝所。
伊計グスクの写真
こちらの拝所には貝殻と霊石が祀られていました。
その拝所は、霊石が積まれており、こちらにも貝殻が祀られていましたね。

そして今度は、『城内之イベ タキキヨの御神』を横切って西側へ行ってみると、そちらにも開けた場所があり、その片隅に拝所がありました。
伊計グスクの写真
『御先』と記された標柱が立てられた拝所。
こちらの拝所は、琉球石灰岩の上に霊石が祀られており、その横に『御先』と記された標柱が立てられていました。

んで、こちらの拝所から来た道を少し戻り、南側へ進んでみると、そこには太平洋や『宮城島』、そして『伊計島』の南側を一望できる場所がありました。
伊計グスクの写真
『伊計グスク』の主郭から見た絶景。右側に見える島は『宮城島』です。
伊計グスクの写真
左側からは、伊計島の集落と港が見えました。
『伊計島』の最高所だけあって、とても見晴らしが良く、凄く綺麗な景色が望めました。

この『伊計島』には、一つの伝承が残されています。

かつて『伊計グスク』には、『アタヘ筑登之(アタヘチクドン)』という武士(按司)が居城していたんだそうです。

そしてグスクの南側にある『宮城島』の対岸には『泊グスク』があり、そこには『川端イッパー』という按司が居城していたとのこと。

両者は、何かと小競り合いを続け、互いに領域を虎視眈々と狙っていたものの、なかなか決着がつかなかったんだそうです。
伊計グスクの写真
グスク北側の岩壁の根元にある古墓と、その左隣にある拝所。
強い北風が吹く、ある寒い冬の日のこと、『アタヘ筑登之(アタヘチクドン)』は一計を案じ、家来たちに大量の木灰を集めさせ、その木灰を風下に向かって撒かせたんだそうです。

木灰は『宮城島』の住民や泊グスク内にいる武士たちの目に入り、目が見えなくなって混乱してしまったんだそうです。

その様子を見計らって『アタヘ筑登之(アタヘチクドン)』と家来たちは、『泊グスク』に攻め入り、ついに『川端イッパー』を攻め滅ぼしたんだそうです。
伊計グスクの写真
グスク北側にある古墓群
『伊計グスク』の主郭まで見学した後、一旦クルマを駐車している『伊計ビーチ』の駐車場へと戻りました。

駐車場側から『伊計グスク』の切り立った岩壁が見えるんですが、その麓や中腹付近には、古墓や拝所らしき場所が点在しています。

駐車場と岩壁の間には森があるんですが、数ヵ所に岩壁へと続く小道があり、その先に古墓や拝所があるんです。
伊計グスクの写真
『伊計グスク』の岩壁中腹にあった古墓群
伊計グスクの写真
古墓群
古墓群は、定期的に草刈りなどの清掃・整備が実施されているようで、思いのほか綺麗な状態が保たれており、とても見学しやすかったですね。
伊計グスクの写真
古墓
んで、グスク西側の岩壁中腹にも古墓があったんですが、そちらは下の方に香炉が1基置かれており、どうやら麓から古墓を拝みを行うようになっていると思われます。
伊計グスクの写真
グスク西側の岩壁の中腹にあった古墓
伊計グスクの写真
古墓の下にあった霊石と香炉。こちらから拝みを行っているようです。
・・・と、こちらの古墓まで見学させて頂いた後は、そのままクルマへと戻り、また次の史跡へと向かいました。

最後に、ちょっと余談なんですが、『伊計グスク』の別称『イチーグスク』の『イチー』とは、『遠く離れた場所』という古語の『イチ』に由来し、時が経って『伊計』になったのでは?・・・という説もあるんだそうですよ。

それでは、そろそろこの辺で。。。でわでわ☆★☆

最後まで読んでくださって、ありがとうございますm(_ _)m
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『伊計グスク(別称:イチーグスク)

☆場所:〒904-2421
      沖縄県うるま市与那城伊計(伊計島)

☆見 学:無料

☆駐車場:無し(グスク北側にある伊計ビーチ駐車場に駐車可能)
※夏場は、ビーチ利用者や観光客で大賑わいとなるため、駐車出来ない場合があります。